大人の発達障害が分かったきっかけ~友人との大喧嘩~ / 森 飛鳥

大人の発達障害が分かったきっかけ~友人との大喧嘩~ / 森 飛鳥

2020年8月30日

きっかけ

大学入学と同時に知り合い、同じサークルに入った友人がいました。

普段の授業でも、サークルでも仲良くしていて、一緒にカラオケやご飯にも行く仲でした。
キャラは全然違うけど、何故か一緒にいて、いつも静かで頭が良くてクールな彼女が
純粋にかっこよくて、心からあこがれていました。
そんな彼女は同級生たちと一緒にストレートで大学を卒業していきました。

私は大学入学前から続いていたうつ状態が良くなったり悪くなったりで、
1年間の休学をして5年かけて卒業しました。
大学を卒業してアルバイトに就いても上手く働けなくて
3ヶ月たたないうちに辞めて引きこもりました。

記憶をなくした

正直、ここからの記憶がないんです。
そして、なぜ、仲が良かった彼女と大喧嘩したかの記憶も飛んでいて曖昧です。
心を守るかのように記憶が消えています。

断片的に覚えているのは、メールでやり取りをしていた内容です。
私が激昂して一方的に言ってはいけない彼女の傷をえぐるような言葉を発してしまったこと。
今でも後悔しています。そんな彼女とは縁が切れました。

カウンセラーへの相談でわかったこと

何もかもが凄くショックで落ち込み、
カウンセラーさんにこれまでの経緯を相談しました。こんなことがあったんだと。

感情が爆発して歯止めが利かなかったこと、言ってはいけないことを言ってしまったこと、
一般的な感情の高ぶり方ではないと判断したのだと思います。カウンセラーさんは言いました。

「ADHDちゃうか?」

これまで身近にADHDの診断を受けた人がいたのがきっかけで
自分もネット上に転がっている簡単なチェックリストをやったこともありました。
思い当たる節がたくさんあったため、すぐにカウンセラーの発言を受け入れました。
勿論自分がADHDだと言われる日が来るとは思っていませんでした。

大人の発達障害を診れる病院がなかなか見つからず
ドクターショッピングを繰り返した末にようやく病院を見付けることが出来て、
そこでWAISの検査を受けました。検査結果はADHDと自閉症スペクトラム障害でした。

自閉症スペクトラム障害の診断まで付くことは
カウンセラーさんは想像していなかったらしく、ビックリしていましたが、
時間をかけてカウンセラーさんと共に自己理解を進めていく中で感じたことは、

メールという文章だけのやりとりで、
彼女の文字に込められた気持ちを上手くくみ取れずに誤解に誤解を重ねた上での激昂だったこと、
相手の気持ちを想像しきれず不快になる暴言をはいてしまったこと、
自分の状況を客観的にみれていなかったこと、
感情の爆発をコントロール出来なかったこと、
挙げればきりのないほどの要因が絡み合っていました。

今となっては言い訳でしかなく、あの時は戻りませんし、彼女の傷がなかったことにはなりません。

彼女の心の傷と、彼女との縁と引き換えに、私は発達障害という能力を得ました。
だから、今の人生がある。彼女には凄く感謝しています。
能力というと誤解が生まれるかもしれません。
ですが、このコラムを書きながら思います。

発達障害は理解を重ね自分の武器に変換できた時に人生を切り開く力になる。
そういう意味で能力という表現を使いました。
気を悪くした方がいたらごめんなさい。

以上、私が大人の発達障害だと分かったきっかけでした。

ありがとうございました。

自己紹介

執筆者 森飛鳥

2019年より、ゆめのたね放送局ラジオパーソナリティとして、
自分を生きるラジオ「ハッタツさんの頭ん中」を運営。
うつや発達障害の経験などを発信。
発達障害イベント凸凹ソンでは解説者として登壇。
2020年自身初のオンラインイベント「死にたいを考える会」を開催し、
10名を超える参加者に対して自殺未遂の経験を語るイベントを成功させる。