思春期の発達障害の女の子をお持ちの保護者の方へ / 藤原 美保

思春期の発達障害の女の子をお持ちの保護者の方へ / 藤原 美保

2020年9月18日

発達障害と言ってもその特性の出方は様々です。

発達障害 男女の違い

特に女の子と男の子とでは特性の出方は違います。

そのため発達障害の診断が見逃されやすいと言うことがあります。
それはどんなところかというと「みんなと同じ」にしようとするところです。
男の子と違い、女の子は他の子と同じであろうと努力をします。それゆえに、発達特性が隠れ見逃されてしまい、思春期まで診断されない事も多いのです。

ポイントの年齢

私は 5 年生ごろという時期は親子共々、発達障害の女の子が岐路に立たされる時期なのかなと感じています。
恐らく 5 年生ごろは本人の人格形成が出来てくる年頃なので、保護者もそれまでのように言うことを素直に聞かなくなった我が子に疲れてくるのかもしれません。
幼いうちに診断を受けた子に保護者は頑張って療育を受けさせるのですが、それをスパッと辞める時期が 5 年生ごろです。
一方で幼い頃にわからなかった子の発達障害が表面化するのも 5 年生ごろなのです。

それまでは頑張ってついていっていたけれど周囲が見えてくるようになりクラスメートとの付き合い方に違和感をおぼえるようになります。
女の子はこれぐらいの時期から「いじめ」や「無視」等のターゲットになる子が出てきます。なぜかこの 5 年生という頃は親にとっても本人にとっても何かの過渡期なのかもしれませんね。

男の子と女の子ではいじめられる子のタイプが違います。
男の子の場合は「交われない子」がいじめられることが多いようですが、女の子の場合はこの 5 年生ぐらいからグループ化が始まるため、発達障害の女子は浮いた存在になるのですが、ここで一人でいられる子は以外といじめられません。
いじめのターゲットになりやすい子は「一人でいられない子」です。
つまり、他の子について行こうと頑張る子がいじめの被害者になりやすいというのが女の子の傾向のようです。
この 5 年生の時期も見逃されると、中学 1 年生後半から中学 2 年生頃に不登校や、家庭内で荒れる等の問題で診断を受ける事も多いように思います。

親としてできること

この時期になると周囲との差に悩んだ挙句、自己肯定感が低くなりすでに鬱になっていたり、摂食障害、強迫性障害など、二次障害になっている事も少なくありません。
保護者はどうしてよいかわからず困る事が多いのですが、発達障害についてまず親が受け入れられるかはその後の対応に大きな差が出ます。保護者が受け入れられないと本人の障害受容が難しくなるケースが多いです。

よく「寄り添う事」と聞くと思いますが、具体的にはどうすればよいのかと保護者様から質問を受ける事がありますが、この時期に保護者が出来る事は(達障害でも、不登校でも)お子さんを想う気持ちは変わらない。と
常に言葉や態度で伝えることです。そしてこの時期まで見逃され、何も手入れが出来てない場合はまず相談できる行きつけの産婦人科を確保しましょうと言うことです。
自分の「障害」を認めたがらない場合、問題が大きくなることが多いです。特に性の問題では健康被害や命の問
題にも大きく影響するため早めに手を打ちたいところですが、発達障害の場合その段階から産婦人科を探していては手遅れになる場合があります。
特に「普通」である事に拘りを持ってしまった場合、適切な支援を受け入れづらくなり、リスクも高くなります。

残念ながらこの年齢になるまで支援を得られていない場合、性の価値観や情報、知識は怪しいと思っておいたほうがいいでしょう。発達障害特有のコミュニケーション能力の低さから男女の関係において肉体関係になるまでの時間が定型発達
よりも短い事が解っています。

性被害のリスクも定型発達に比べ高いというデータ(内閣府男女共同参画局 H30 年 9 月 調査報告)もあります。監視の眼を緩めない事です。望まない妊娠を避けるためにも生理の周期も把握しておきましょう。

保護者は最大の味方である事を伝えつづける事です。
物理的にも孤立させない事は大切ですが、精神的な部分も重要です。
つまり、みんなと同じが良い女の子は思春期前に「自分だけではない」と言うことを理解することはとても助けになります。
発達障害は女の子が圧倒的に少ないとされています。自己肯定感が下がってしまうため男の子ばかりの中に入れるのは賛成できません。自分だけじゃないと本人が思える環境があると本人の安心につながります。

保護者も同様で、女の子を持つ親同士繋がる事が難しいというのも影響をしていると思います。
女性であること、更に障碍者である事は社会的にはまだまだリスクではありますが、その中でも繋がりを見つける事、支援を得る事をあきらめないで欲しいと思っています。

著者紹介

保育士、介護福祉士、健康運動指導士
株式会社Splendore 代表取締役
NHK「あさイチ」でも発達障害の女の子への性教育プログラムが紹介された放課後等デイサービス Luce(ルーチェ)を運営  児童発達管理責任者
著書「発達障害の女の子のお母さんが早めに知っておきたい47のルール」エッセンシャル出版
「発達障害の女の子の自立のために親ができること」PHP出版
小学館ウェブサイトHugkum 発達障害についてのコラムを連載
youtube子育て塾!Mamma mia!開設

子育ての困った!を発達障害の子の支援を10年以上やってきた子育ての専門家の公認心理師、保育士の資格を持つMammaが子育てのコツをお話しますよ!初めての子育て。…
www.youtube.com