私のところには発達障害の方の中でも困っている方が多く相談にいらっしゃいます。
当たり前ですが、困っていない方は相談にいらっしゃいません。
この内容は私の所に来る発達障害の女性の傾向や寄せられる相談等を元にした内容になります。ですからすべての発達障害の女性に当てはまるわけではありません、一つの傾向という視点でご覧いただければ幸いです。
発達障害女性のよくある相談
相談等で多い内容は将来への不安等が多いです。結婚やお付き合いを含めた「パートナーシップ」「子ども」についてです。
発達障害の方にも結婚したいと言う方は多いです。
しかし、よくよく聞いてみると結婚するとはどういうことなのか?パートナーシップとはどういうことなのか?を理解していないケースがとても多い印象です。中にはアニメやドラマのようになると本気で思っている方も存在し自分が主人公になっている方もいて時々驚かされます。
相談者の発達障害の方は「普通」になりたいと思っている人が多いです。
結婚や子どもについて「何故?」と聞くと「普通だから」「結婚するのが普通」「みんなが産んでるから」結婚することで、子どもを産む事で普通になれると仰った方もいました。
他にも結婚したらパートナー(彼)に自分(女性)を守ってもらえる。つまりはっきり言葉を濁さずに言うと依存相手と考えている方も比較的多いです。
見た目や形式に囚われ、内容や意味理解、その後に必要なスキル等を理解していない方が多いです。
何故そんな風に思ってしまうのか?
ASDの傾向の問題
それには自閉スペクトラム症の学習スタイルは影響していると思います。
ASDの人の学習スタイルの中で「心の理論の障害」は相手の気持ちを汲み取りにくい事があげられます。つまり相手の気持ちがわからないのです。わからないから不安になります。
そして「実行機能の障害」これは先の見通しを持って行う能力です。一般的には6歳頃で成熟するはずですが、プランニングが上手くできません。変化に弱く変更が苦手、しかも修正や指摘される事がとても苦手です。衝動的に行動してしまう方もいます。つまり「解る事」と「出来ること」は違うと言うことです。
「中枢統合の障害」は全体を把握する能力の事で複数の情報が把握できません。ですから思考や判断力に影響します。
これらの事から恐らく、今までの生活の中で誤った情報が積み上がり、それを本当だと思ってしまっている。
典型的な発達の人であれば、あれは嘘だな、作り話だな、とか目の前に事象について、裏の苦労などをイメージが出来たりするのですが、発達障害の女性は見たものをそのまま鵜呑みしてしまうこともあり、パートナーとの関係性や、その後の生活の事を表面的にしか見ていない方もいます。
他者の心情理解の困難さや空間整理統合状況理解の困難さ等から日常生活が疲弊するものであり、少しでも楽になりたいと思うあまり、パートナーだったら私を楽にしてくれるのではないか?過度に期待し依存してしまいやすいようです。
依存はパートナーシップにおいてパワーバランスを崩します。
障害のある女性は障害のない男性を求め、中度の女性は軽度以上の男性を求めるためパワーバランスが崩れ、DVの被害者になりやすいというイギリスのデーターがあります。
依存が強いとパートナーから離れる事が不安になり逃げ出せなくなったりすることもあるようです。
つまり、典型的な発達の方よりもDVの被害にあいやすいということは頭の片隅に置いておいた方がよいかもし
れません。
パートナーとの関係構築
パートナーとの関係を構築するにはコミュニケーションやマナー等身につけておかなくてはならないスキルが沢山あります。
・自分や他者の権利や尊厳を尊重する事
・相手の気持ちを理解する力の育成
・コミュニケーション能力の育成
・情報を取捨選択する力
・自己肯定感や自尊感情の育成
・命の大切さ
・性行為について自分の体を守る為の知識等
少し立ち止まって考えてみて欲しいのです。自分は普通の人がやる事にあこがれを持っているだけではないだろうか?と。パートナーと努力し合いコミュニケーションが取れるだろうか?本当にしたい事はそれなのか?それをするために努力をしたいと思っているのか?
もしわからなければ支援してくれる人に考える事を手伝ってもらってください。
現実と思っていたことがかけ離れすぎていると精神的に病んでしまったり、鬱になる人も多いです。
そして一番重要な事は、自分から社会に向けてヘルプが出すことが出来るかどうか?ヘルプを求めると言うことは自分の苦手な事を認める事です。自分の苦手な事を説明できるようにしておきましょう。
相談できる産婦人科、日常生活の事を相談できるカウンセラー等サポートしてくれる人はパートナー以外に用意する必要があります。
あなたは社会に助けてもらう権利があります。
しかし、残念ながら日本の社会は黙っている人には助けの手を差し伸べてはくれません。適切な手順を踏む必要があるのです。
地方自治体によってそのやり方は様々です。自分が住んでいる地域の自治体の支援がどのようになっているのか?それを得るためには何が必要か?その手順、どんなサポート受けられるのかを知り、何が可能で不可能なのかを相談するために利用できる地域包括センターや相談支援事業所等の情報も得ておく事はおすすめです。
著者紹介
藤原 美保
保育士、介護福祉士、健康運動指導士
株式会社Splendore 代表取締役
NHK「あさイチ」でも発達障害の女の子への性教育プログラムが紹介された放課後等デイサービス Luce(ルーチェ)を運営 児童発達管理責任者
著書「発達障害の女の子のお母さんが早めに知っておきたい47のルール」エッセンシャル出版
「発達障害の女の子の自立のために親ができること」PHP出版
小学館ウェブサイトHugkum 発達障害についてのコラムを連載
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